働く祖父母の新スタイル:仕事と孫育てを両立する暮らしの工夫

暮らしの知恵

少子高齢化と共働き家庭の増加により、「祖父母が孫育てに関わる」場面はますます増えています。しかし、現代の祖父母世代は現役で働いていることも多く、「キャリア」と「育児支援」を両立することが新たな課題になっています。

核家族化や働き方の多様化が進む中、祖父母世代に対する育児支援の期待は高まり続けています。一方で、定年退職後も自分らしく働き続けたい、地域活動や趣味を大切にしたいという想いを持つ方も多く、「関わりすぎず、でもしっかり支える」関係性の模索が始まっています。

この記事では、仕事と孫育てを両立させながら「自分らしい暮らし」を築いている祖父母世代の工夫や実践例をご紹介します。

「祖父母だからできる関わり方」を再定義する

現代の育児支援は、単に「お迎えをする」「食事を作る」だけではありません。子どもとの時間を「共に育ち合う時間」と捉える姿勢が、親世代との信頼関係や孫との絆づくりにもつながります。

たとえば、平日は夕方の1時間だけを「孫タイム」と決め、手作りおやつを一緒に作ったり、絵本を読み聞かせしたりするだけでも十分。無理なく、習慣として続けられる関わり方が鍵です。

保育園帰りの“おやつタイム”で心のつながりを育む

大阪在住の60代の女性(週3日パート勤務)は、毎日17時に保育園へ孫を迎えに行くとき、自宅で“おやつタイム”を習慣化しています。 「たった30分だけど、毎日その時間に“今日はどうだった?”と聞くだけで、孫との距離がぐっと縮まりました。」 特別なことではなく、いつものルーティンが孫との信頼関係を築く“種まき”になる好例です。

 スケジュール管理と「頼る力」で両立を実現

働きながら孫育てを担うには、何よりも「時間の見える化」が大切です。家族全体の予定を共有できるアプリやカレンダーを活用すると、夫婦間・親子間でのコミュニケーションも円滑になります。

また、「全部自分で抱え込まない」こともポイントです。ファミリーサポートや保育サポート、時には地域の子育て広場なども賢く活用しましょう。

さらに、祖父母の協力が当たり前にならないよう、親世代からの「ありがとう」のひと言や、ちょっとした差し入れ、お手紙などが継続的な関係づくりに効果的だという声も。協力体制を築くだけでなく、その関係性を温め続ける小さな気配りが、家族全体の信頼感を支えています。

実例:Googleカレンダーで“3世代共有”スケジュールを運用中

共働きの娘夫婦と同居している70代の男性は、娘と婿、そして自身の勤務先の予定をGoogleカレンダーで共有。 「孫の習い事の送迎や、小学校の行事日も事前に可視化されているから、無理のない範囲で協力できる。」 忙しい中でも連携ミスを防ぎ、祖父母にとっても“やりすぎない関わり”が可能になる工夫です。

「働くこと」が孫に伝えるポジティブな価値

祖父母が仕事を持ち続ける姿は、子どもにとって良い学びの機会にもなります。「大人も成長し続けている」「働くことは人の役に立つこと」といった価値観を、自然と孫に伝えることができます。

ときには「今日はこんなことがあってね」と仕事の話をするだけでも、孫との対話が深まり、お互いの世界を尊重し合える関係へと育ちます。

実例:リモートワーク中の祖母が“お仕事ごっこ”に発展!

東京都内でライターとして在宅勤務をする60代女性は、孫(年中さん)に「今、お仕事中なんだよ」と説明していたところ、 「じゃあ私もお仕事するね!」と、お絵かきやノートに“仕事”を記録するように。 「私が働いている姿が、孫にとって“かっこいい遊び”に見えたのは予想外でした。」と笑います。 見せる子育て=「大人も学び続ける姿勢」の共有、という好例です。

自分自身のケアも忘れないために

孫との時間はかけがえのないものですが、自分の健康や心のゆとりも同じくらい大切です。週に一度の趣味時間、夫婦だけの夕食タイムなど、自分をリセットする「好きな時間」を確保しましょう。

特に働きながらの育児支援は、知らず知らずのうちに疲れを溜めがち。「やさしい自分」でいるためにも、自分をいたわる選択を積極的に

とある祖母は、月に一度だけ“自分会議”と称してお気に入りのカフェで手帳を広げ、自分の気持ちや体調、これからやりたいことを整理する時間を大切にしているそう。「忙しい日々の中でも、こうして“自分と向き合う時間”があるだけで、また明日も笑顔で迎えられる」と話してくれました。自分を労わる習慣は、継続的な孫育ての源でもあります。

実例:毎週金曜日は“孫育てをしない”日に

千葉県の祖父母(いずれも非常勤勤務)は、金曜日だけは「何も予定を入れない日」に設定。 「夫婦でランチに行ったり、好きな映画を観たり、散歩に出かけたり。 自分たちの“育児支援”は長く続けるものだから自分時間を充電する意識を持っています。」 孫育てと自己ケア、両方を持続させるうえで重要な実践です。

 孫育てを「共創する喜び」へ

育児は「手伝う」ものではなく、「一緒に育てる」喜びでもあります。祖父母としての人生経験や温もりを通して、家庭の中に安心感や楽しさをもたらす存在になることができます。

親世代が頼りたくなる「味方としての祖父母」、孫が心を許せる「安心できる大人」として、無理なく自然体で関われるのが理想です。

実例:“週末クッキング”が3世代の大事なイベントに

福岡の50代共働き祖父母は、日曜の夕方に“孫と一緒に作る夕食会”を開催。 「カレーや餃子を一緒に作ることで、遊びと教育と家族時間を全部ひとつにできる。」 娘夫婦も交えて、みんなで笑いながら食卓を囲む時間が“3世代の絆”を強めています。

おわりに:祖父母世代にこそ「選べる働き方と暮らし方」を

人生100年時代を迎え、祖父母世代の役割はますます多様になっています。働くことも、育てることも、楽しむことも。「どれもあきらめない」ライフスタイルは、これからの家族の在り方のヒントになるはずです。

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