孫との時間が教えてくれること
~伝えるつもりが、心を動かされていた~
「教える立場のはずが気づけば学ぶ側になっていた」——そんな瞬間が、孫との日々にはそっと潜んでいます。祖父母と孫という関係は、単なる家族の枠を超え、価値観や感性が交差する、かけがえのない交流の場です。
この記事では、私自身の体験を通して、孫とのふれあいがもたらす気づきや心の変化について綴ってみたいと思います。
世代を超えた笑顔の交流
孫との何気ない会話には、時代の移り変わりが自然とにじみ出ています。ある日、孫娘が真剣な表情でこう言いました。

学校で海のごみの事を習ったから、プラスチックは、できるだけつかわないようにしているんだよ
と、また別の日には

ピンクって男の子が選んでもいいんだよ
と、笑顔で言ってくれた時、私の中の”当たり前”が静かに揺れました。
孫との会話が教えてくれる「今」の価値観
実例:孫との会話から学んだこと
ある日買い物の道すがら、孫がこう言いました。

海が汚れると魚がかわいそうなんだよ。だから、エコバッグを使ってるの
その言葉に私は思わず立ち止まりました。環境への配慮が、彼女にとっては自然な行動になっていることに驚き、胸が熱くなったのです。また、別の日には、ピンク色の文房具を手にした孫が笑顔でこう言いました。「ピンクって、男の子が選んでもいいんだよ」その一言に、私の中の”当たり前”が静かに揺れました。固定観念が、子供たちの柔らかな感性によってそっと塗り替えられていくのを感じました。
体験談:価値観の違いに気づかされた日
夕食後の団らんで孫がぽつりと尋ねました。「ばあばが若い頃って、どうして女の人が働きづらかったの?」私は言葉に詰まり、「そういう時代だったのよ」と答えるのが精一杯でした。すると孫はにっこり笑ってでこう言いました。「あたしたちの時代は、女の子も男の子も好きな夢を追っていいんだよ」
その言葉に、時代の変化が子供たちの心にしっかり根付いていることを実感し、未来への希望が芽生えました。
デジタルの世界に手を伸ばす

ばあば、これ一緒にやろう!
タブレットを差し出す孫の手に、私は戸惑いながら応えました。長年”動画は難しい”と避けてきた私でしたが、孫の根気強いサポートのおかげで、少しずつ苦手意識が溶けていきました。学んだのは、操作方法だけでなく「一緒に楽し勇気」でした。
体験談:昔話が動画になる日
新聞を広げて読むのが習慣だった私に、孫がある日、こう言いました。「ばあばの昔話を動画にしてみたい」スマホで私の話を録音し、写真を組み合わせて編集する姿に驚きながらも、昔のアルバムを一緒にめくる時間が生まれました。完成した動画を家族で見たとき、孫が「ばあばの話って、すごく面白いね」と言ってくれたことが何よりうれしく、デジタルが”記憶の継承”になることを実感しました。
忘れていた感情を思い出させてくれる
折り紙をしていたある日、娘と折鶴を並べた記憶がふと蘇り、胸がじんわりと熱くなりました
こっちゃんが小さな腕でぎゅっと抱きしめながら

ばあば、大好き
と言った瞬間、胸の奥から涙がこぼれました。
体験談:お手玉がつないだ記憶
冬の寒い日、孫が「ばあばの小さい頃のあそびをやってみたい」と言い、奥からお手玉を取り出しました。最初は手から転がり落ちるたびに笑い声が響き、やがて少しずつ上達していく姿がまぶしく映りました。その瞬間、娘と並んで遊んだ昔の記憶が鮮明によみがえり、時代を超えて家族がつながっていることを深く感じました。
体験談:ファッションでつながる心
ある日、孫が「ばあばもピンクのスカート履いてみたら?」と提案してくれました。少し戸惑いながらも試してみると、鏡の前で笑い合う時間が生まれました。「似合うよ!」と手をたたいて喜ぶ孫の姿に、年齢に縛られず”楽しむ心”を持つことの大切さを教えられました。それ以来、買い物に行くときは「今日はどんな色に挑戦しようか?」と孫と相談するのが楽しみになりました。
伝えることで、自分自身を見つめ直す
孫に、

ばあばの子供の頃はどんな遊びをしていたの?
と孫に聞かれた時、思いがけず自分の記憶の扉が開きました。七夕やお月見などの行事を一緒に楽しむ中で、ただ文化を伝えるだけでなく、自分の歩んできた道を振り返る時間にもなります。「ばあばの時代って、すてきだね」と言ってくれた孫の言葉に、過去が未来につながっていることを実感しました。
伝えることの意味
- 七夕やお月見など、季節の行事を一緒に楽しむことで、文化の継承ができる。
- 昔の遊び(けん玉、お手玉など)を教えることで、孫との距離が縮まる。
体験談:七夕飾りに込めた願い
昨年の七夕、孫と短冊に願いを書いて笹に飾りました。孫は

ゲームが上手くなりますように
と小さな字で書き、私は

家族が健康でありますように
と記しました。その時、孫が

ばあばの願いってやさしいね
と笑ったのです。短冊に込められた願いは小さな紙きれかもしれませんが、そこに宿る想いは世代を超えて心を結び付けてくれるのだと感じました。
世代間交流がもたらす相互成長
孫から学ぶことが多い一方で、大人の言葉や態度もまた孫の心を育てます。失敗したときに「それも経験だよ」と声をかけるだけで、子供は安心感を覚え、自分らしい一歩を踏み出せるのです。
体験談:転んでも立ち上がる力を
公園で孫がつまずいて転び、地面に膝をついて泣きじゃくったとき、私はこう語りかけました。「痛かったね。でも転んでも立ち上がれることが大事なんだよ」しばらくすると孫は涙をぬぐって「ばあばみたいに強くなる」と言ってくれました。その言葉が胸に沁み、これからの孫の成長を温かく見守りたいと改めて思った瞬間でした。
おわりに:孫との時間が教えてくれること
孫と過ごす時間は、笑顔や癒しをもたらすだけでなく、私たち大人に人生を振り返らせ、時にはこれからの未来に希望を芽生えさせてくれます。小さな会話や遊びの中には、過去も未来もつなぐ不思議な力が宿っています。新しい価値観に触れ、昔の記憶をたどり、時には挑戦を重ねながら、自分自身も少しずつ変わっていく。その変化は年齢に関係なく、人生を豊かにしてくれるものだと感じています。これからも、笑い合い、語り合い、共に成長していけたら—-それが、私にとって何よりの幸せです。
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