夕暮れの玄関先で、小さな手がふわりと揺れたあの日。あの瞬間が、私の“孫との新しい日々”の始まりでした。
■ “もう一度の子育て”が始まった日
「ばあば、また来てね!」と小さな手を振る孫の姿を見送った日のこと、今でもよく覚えています。あれが私の“孫育て”の始まりでした。
それはある平日の午後、娘から急な連絡が入り、「ちょっとだけ、預かってもらえない?」とのこと。久しぶりに抱く赤ちゃんの重みに、胸がきゅっと締めつけられるような気持ちになったのを覚えています。1歳の孫のこっちゃんは、最初こそ不安そうな顔をしていましたが、私の膝の上で絵本をめくりながらだんだんと笑顔を見せてくれるようになりました。
お昼に作ったおにぎりを「おいしい」と小さな声で言ってくれたとき、「ああ、またこの時間が戻ってきたんだ」と胸が熱くなりました。
■「できることを、できるときに」――祖父母としての役割
それ以来、我が家では週に一度の「ばあばデー」が定着しました。
「公園のベンチで一緒におやつを食べながら、『ばあば、クローバーって幸せの葉っぱなんだよ』と教えてくれた7歳の孫のきーちゃんの笑顔が忘れられません。」日々の忙しさも、疲れも、ふと消えていくような感覚でした。
でも、祖父母にとっての“孫育て”は、親とは違い、距離感や体力面での課題もあります。私は無理をせず、「できるときに、できる範囲で関わる」ということを大切にしています。たとえば「平日の午前中だけお迎えに行く」「体調がすぐれない日は正直に伝える」など、自分の心と体の声に耳を傾けるよう心がけています。
■ 過去と現在の子育てのギャップに戸惑いながら
正直に言えば、戸惑うこともたくさんありました。たとえば、風邪ぎみの孫にジュースを出す際、私は「冷たいとお腹を壊す」と思って常温にして出しました。すると娘から「今は冷たいものでも大丈夫なんだよ」と言われたのです。
昔は今のように便利な紙おむつも少なく、今のおむつの種類の多さと便利な構造にびっくりです。冬生まれの子供で夜中に冷たいおしりふきを使うとき、ごめんね~冷たいね~と言っていたのに、今は、あたためる器具があると知りすぐに買って送りました、お風呂もひとりで二人の子をいれるとき一人を後ろから支えてくれるような道具もあります。あの時、これ欲しかったな~と思うものばかりです。それは時代の教科書がすっかり書き換えられたようで、月日の流れを感じます。
泣いてる孫を見て「こうした方がいいのに…」と口を出したくなったこともありました。でも、娘のやり方を尊重したい気持ちもあり、グッとこらえて見守ることにしました。
ある日、同じく孫育てをしている友人と話していたとき、「つい口を出したくなるけど、今は“見守り隊”に徹してるよ」と笑っていたのを聞いて、少し気が楽になりました。完璧であろうとしなくていい、家族の信頼は少しずつ育てていける――そう思えるようになったのです。
■ 喜びの瞬間を、心に焼きつける
“孫育て”のなかで何よりうれしいのは、子どもの成長をそばで感じられることです。最近では、折り紙で動物を作ったり、あやとりやわらべうたを教える時間が増えました。最初はなかなか形にならなかったのですが、7歳の孫のきーちゃんが折り紙で作ったキリンを『ばあばにあげる!』と差し出してくれた時、家族の絵を書いたときにこっちの小さいのはばあばだよと、以前には登場しなかった私が描かれていた時には、胸の奥がじんわりと温かくなりました。
また、週末には一緒にクッキーを焼き、チョコペンで顔を描いたり、「パパのおみやげにしよう!」と嬉しそうにラッピングしたりするのも、我が家の恒例行事となりました。
「ばあば、また作ろうね」というひとことで、どんな疲れも報われる気がするのです。
■ 「やってあげてる」のではなく「一緒に楽しむ」
“孫育て”がうまくいっているときほど気をつけたいのが、「してあげている」という気持ちにならないことです。自分の時間を犠牲にしている感覚ではなく、「一緒に過ごせることへの感謝」を忘れないようにしています。
もちろん体力的にきつい日もあります。そんなときは、「今日はちょっと休ませてね」と素直に伝えます。無理をしないことで、心のゆとりが生まれ、結果的に笑顔で接することができます。
「昔はこうだったのよ」と伝えたいときは、「でも今はこういう考え方もあるのね」と続けて言うようにしています。そうすることで、娘や息子にも敬意を払える気がするのです。
■ 終わりに――孫育ては家族の絆を深めるかけ橋
孫と過ごす時間は、私にとって人生の“第二章”です。子育てが終わったあと、もう一度こんなにも小さな手に触れ、笑顔に癒される日が来るとは思ってもいませんでしたした。9か月の孫のとっくんが朝起きてニッコリ手を伸ばしてくれる時間はあたたかく、儚くでも確かな記憶として心に残ります。
もしこれから“孫育て”が始まる方がいたら、私はこう伝えたいです。
背伸びせず、比べず、あなたのペースで。小さな手がくれる幸せは、きっとあなたにも届きます。
最近2歳の孫のこっちゃんがおいしいものを食べた後に(最高~!)とつぶやき笑わせてくれますが、私にとっては、(あなたが最高!!)と思うのです。
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